無駄の読書感想文

自分のためにまたはこれから読もうかなと思っているかたの参考になればと思い拙い感想文ですが書いています。読むペースは遅いので更新もゆっくりです。

13冊目 世界は一冊の本

13冊目
世界は一冊の本

長田 弘

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世界は一冊の本

和歌や俳句、詩集などちょこちょこ読みます。
いろんな芸術作品はありますが
私はやはり言葉の芸術が好きだな~と感じます。

専門書や小説より肩肘張らずに読めるし
途中でやめても良い。
たまに気が向いた時にペラペラ読める手軽さは
とても良いと思います。

言葉の芸術にはゆっくりした時間が流れています。

さてその中で最近読んだ長田弘さんの
世界は一冊の本をペラペラと読みました。

本の題名にもなっている詩で
世界は一冊の本

本を読もう、
もっと本を読もう、
もっともっと本を読もう。

書かれた文字だけが本ではない。
日の光、星の輝き、鳥の声
川の音だって、本なの。

ブナの林の静けさも
ハナミズキの白い花々も、
大きな孤独なケヤキの木も、本だ。

本でないものはない。
世界というのは開かれた本で、
その本は見えない言葉で書かれている。

ウルムチ、メッシナ、トンブクトゥ
地図のうえの一点でしかない
遥かな国々の遥かな街々も、本だ。

そこに住む人びとの本が待だ。

自由な雑踏が、本だ。
夜の窓の明かり一つ一つが、本だ。

シカゴの先物市場の数字も、本だ。
ネフド砂漠の砂あらしも、本だ。
マヤの雨の神の閉じた二つの眼も、本だ。

人生という本を人は胸に抱いている。
一個の人間は一冊の本なのだ。
記憶をなくした老人の表情も、本だ。

草原、雲、そして風。
黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。
権威をもたない尊厳が、すべてだ。

200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
考えることができるということだ。

本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。

世界は一冊の本より引用

人間は考えることができるので業が深くなったと
言われています。
考えられることは苦しみも考えられますが
この詩を読んでいますと考えるという人間の特徴を
楽しもうという気持ちにさせてくれます。

考えた先には多分なにもないのだろうと
思いますが考えることを楽しみたいと思います。

無駄

空海の秘蔵法輪 現代日本語訳  12冊目

12冊目

空海の秘蔵法輪
現代日本語訳

正木 晃著

空海の秘蔵法輪

空海の秘蔵法輪

空海の著作に「秘密曼荼羅十住心論」がありそのダイジェスト版の
秘蔵法輪

秘蔵法輪でもかなり難しいので十住心論を読める日が来るのだろうか・・・
と思いますが色々読みたい私にはうってつけの秘蔵法論
ダイジェスト版を使いてくれてありがとう空海さん

まずこの本にふれて感動したのは読みやすさです!
現代語訳なのでストレスなくスラスラと読めました。
正木さんの著作は初めて読みましたが
とても読みやすくて親切。読みやすいけど大事なとこはしっかり
書いているところなど正木さんの他の著作も
読んでみたいなと思わせてくれました。

秘蔵法輪は天皇に献上した書物で密教とはなにか
ということが書いてあります。
読めば読むほど確かに密教最高だと感じてきます。
いろんな宗派はあるが最終的に密教に集約されるのかな
とも思いました。

密教は宝具もあるし護摩木もあるしいろんな明王
菩薩が出てきます。時代的にいろんな宗教を
取り込んで仏教進化バージョン、最終形態
なんですね。

ただその後の鎌倉時代にいろんな宗派が生まれてくるので
まだまだ仏教は進化していくのですね。

この本を読んでもそうですが密教はとにかく深い
さらに秘密の教えや行を行わないと理解ができない部分もあり
在家ではちゃんとしたことは理解できないのではないかなと
思います。浄土教などにくらべて一般向きではないの
かもしれません。

密教はわかりにくく難しいけど面白く深いというかんじでしょうか。
これからも空海さんの著作は読んでいきます!

無駄

空海 般若心経の秘密を読み説く 11冊目

11冊目

空海
般若心経の秘密を読み解く

松長有慶著

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般若心経の秘密を読み解く

一時期、般若心経の解説本を読みあさっていた
時がありました。
空の思想はわかるようでわからない
著者がどのように空を捉えているか、どう体験しているのか
を読んでいるととても面白いのですが
空海の般若心経秘鍵だけはなんとなくニュアンスが違うのでは
ないかと思っていままで読まずにいました。

そして今回密教に興味を持ったので
初めて般若心経秘鍵の解説本を読んでみました。

読んでみて分かりましたが
まったくいままでの般若心経の解説本とは
ぜんぜん違います。

般若心経をこんなふうに解釈できるんだと
いままで一方向でしか読めていなかったのですが
違う方向から読めました。

これだけでも空海が天才と言われたいるのが
よくわかります。

こちらの本は前半が解説で後半が
般若心経秘鍵本文の訳と解説になります。

松長さんの解説はいつもわかりやすいし
興味がわくなと思います。
なので前半はそんなに仏教を知らない人でも
読めるのかなともいますが
後半は少し難しくなり本当に読みたいと思う人でなければ
チンプンカンプンなので心構えが必要です。

もちろん私もこの本だけでは体に入ってきてはいませんので
他の解説本も少しずつ読んでいきたいなと持っています。

以下は自分自身のメモです。

無分別なのだから空を頭で理解することはできない
また空の思想は言葉や体験で伝えることはなかなか難しいのだが
密教では言葉によって不可能でもなんらかの象徴を通して悟りの世界を体で受け止め
捉えることが可能だと説く

見る側が固定的な基準で一方的に判断を下すことなく、複数のものさしを準備し
一方では劣とみなされようと、他のものさしを幾度か当てることで
優の面を拾い上げる。その優の性格を評価し、それを組織に組み込むことによって
一つのシステムを作り上げる。
密教では何者も排除することなく、それぞれの個性の特徴を評価し、それをいかしきる
秘密の眼をもつことが要請されるのである。

一般の人は般若心経を大乗仏教の空を説く顕教の経典だと見ている。それに対して
空海はそれを般若菩薩の悟りの境涯を明かした密教の経典だと主張する。

空海
般若心経の秘密を読み解くから抜粋

無駄

10冊目 石の心を  山崎方代という歌人

10冊目

石の心を  山崎方代という歌人
高村壽一

 

石のこころを

石のこころを

山崎方代さんに関係する本は無用の達人
で読みました。山崎方代さんの生涯のことをもう1冊読む
必要はあるのか?面白いのか?と考えましたが
山崎方代さんの歌、人生はとても惹かれるものがあり
関係する本はとにかく読みたいということで
高村壽一さんの石の心を読んでみました。

前回の無用の達人とはまた別の楽しさがありました。
もう知っているエピソードもあったのですが
そのエピソードも高村さん自身からの目線なので
知っているエピソードでも新鮮に読めました。

山崎方代さんの歌はぱっと思いつきて
できるもではありません。
思考に思考を重ねてひねり出した芸術の言葉です。

ただ芸術といいますとキレイにまとまりがあり
精錬されているようなイメージがありますが
山崎さんの歌は日常の暖かいじ~んとするような
親しみやすい歌です。

言葉をこねくり回したらこんな言葉は出てこないのでは
ないかなと思ういますが山崎さんの歌は
こねくり回してもよい言葉が出てくるのです。

もっともっと山崎さんのことを知りたいなと
改めて感じさせてくれました。

また山崎さんのなくなる前、病院でのお話などは
なぜか涙がでるように寂しくなります。
前回の無用の達人でもそうでした。

また高村さんの本を読んでよかったなと
思うのは高村さんの住んでいた場所が保土ヶ谷
戸塚でとてもよく知っているところで保土ヶ谷も戸塚も
馴染みのある場所でした。

最後のほうにあるエピソードですが
高村さんの息子が家の下の道祖神のとこに歌集が置いてあったと
高村さんに報告します。
この道祖神かまくらみちのドリームランドの方面に向かって
交差点の手前にあるところではないかなと思いました。

引っ越してして近所の道祖神に山崎さんの歌集が
置いてあることなんて奇跡です。
著者の高村さんは方代さんが引越しを祝ってくれているのか?
と書いてありますがまさにその通りだと思います。

縁の結びつきをとても感じました。

方代さんのことを知らなくても面白く読めます。
鎌倉や戸塚に住んでいる人ならなお面白いと思います。

無駄

9冊目 密教とはなにか 宇宙と人間

9冊目

 

密教とはなにか  宇宙と人間
松永 有慶著作

密教とはなにか

密教とはなにか




私は漫画の孔雀王が大好きなので空海やら
密教という言葉は特に馴染みがありました。

呪術を使い敵と戦う漫画なので仏教的な要素は
あまりなく明王などのキャラクターがとても魅力的でした。
大人になりただいま大乗仏典とちょこちょこ読んでいまして
やっと密教に到達しました。

大日経など密教の経典を見ていますと
いままでの経典と違って思想や道徳でてきなことが
あまり書いていないような感じがしました。

人がなにを思いなにを考えてきたのかが好きな私は
密教は少し違うのかなと思っていたのですが
松永さんの密教とはなにかを読み考えからが変わりました。

数々の本がありますが一番魅力を感じさせられる本とは
そのことに興味をそそらせてくれる本です。
松永さんの本はまさに密教に興味をわかせてくれました。

仏教とはいろいろ削ぎ落とした洗礼されたものだと思ったのですが
密教はいろんな要素を包括しているので
冒頭でも書かれていますが
密教とはなにかというと一言で言えないのが密教というものの
定義と言っています。

いろいろそぎ落とす仏教もあればたくさんを包括する仏教も
あり幅が広いのですがどちらも同じ仏教なんですよね
おもしろい!!!

この本は密教についてなので
曼荼羅空海の事、密教と芸術など
幅広く素人にわかりやすく書いてあります。
講演をまとめて本にしてあるので
読みやすく仕上がっています。

密教とは?と思ったらぜひオススメです。

以下はメモ代わりに

思索の跡を表に出さずに、色や形、音、つまり造形美術や音楽
あるいは儀礼といったいろんな形にして私たちの生身に備わるすべての感覚を
通じて吸収できるようにして思想を提供するのが密教なのであります。

思想とはたんに頭のなかでいろいろ考えるものだけではなく、色や形
あるいは音のうちにあらわれるものである。

包み込みの文化というのも東洋の文化の一番大きな特徴だろ思うのです。

密教とはなにか  宇宙と人間
松永 有慶著から抜粋

無駄

8冊目 浄土教典 現代語訳 大乗仏典

8冊目

浄土教
現代語訳 大乗仏典

中村 元著

浄土経典

浄土経典

 

阿弥陀経無量寿経観無量寿経と浄土3部経と
呼ばれているものを1冊づつ読んだのですが
なんとなく自分の中でまとまっていなく中村元さんの浄土経典を
手にとって見ました。

もともとこの大乗経典シーリーズは膨大な数の
経典を読むのが大変だから重要な要点をまとめて本にする
という主旨みたいなので大変読みやすくまとまっていました。

なので私でも浄土3部経を理解できたように感じさせてくれました。

漢文とサンスクリット訳、和訳とあり解説もあるので
なるほどということが多かったです。

ただ大事なとこをまとめただけなので
経典の深淵なところはわかりません。

この本をきっかけに興味があれば何冊か見てみたいなと思います。

個人的に気になったのは浄土を観想する十六の方法と
いうのを初めて知りました。
これは観無量寿経に出ています。

浄土教は念仏だけなのかと思ったら
こういう心の中のことも書いてあるのですね。
イメージすることは現代でも大事だと言われているので
観想を深めていけるとまた違う感覚がでてくるのかな
と思います。

私は中国哲学なども好きなので
どうも3部経典のなかでもこの観無量寿経
は読んでいて面白いなと感じました。

浄土教ってどんな教え?と思ったら
こちらの本はオススメです。

わかりやすい

無駄

7冊目 100分で名著 ペストの記憶 デフォー

 7冊目

100分de名著

デフォー ペストの記憶

ペストの記憶

ペストの記憶

今月の100分で名著 ペストの記憶
のテキストですが読んでみました。

興味はあるんだけどちゃんとした本は読むの
大変だし、時間もない。
要点をわかりやすく読みたいというときに
10分で名著のテキストは最高です。

いつもは仏教系か哲学系しか買わないように
しているのですが今回はペストということで
興味があり購入しました。

実際にコロナの状況をタイムリーに経験している
世代としては興味がわく内容だと思います。

ペストは1665年にロンドンで大流行しました。
ペストの最初は541年、治療が可能になりペストが
終焉になったのは1910年頃だそうです。

ペストは発生から終焉、抗生物質ができるまで
1400年ほどかかったということですから
コロナもワクチンがなかなかできないとこをみると
数年はかかるのかなと思ってしまいます。

ペストの記憶は小説というより
ペスト化での国の対応、民衆のなかで何が起こったか
どんな事件が起こったかをランダムに
書いてあります。

そしてロンドンでの流行の終焉はどのようだったか?
が書いてあり終焉に関しては読んでいて
コロナ禍もいずれ終焉があるのだなと
ほっとする思いで読みました。

ワクチンや薬がなければ完全な終焉とは言えませんが
ロンドンの時のようにワクチンや薬がなくても
終焉を迎えることが出来るのです。

ちなみにペストは年の末に最初の死者がでて
翌年春から夏にかけて猛威をふるい
9月末になるとペストの勢いが陰りが見えて
死者の数が減ると市民は外出や商売をはじめだします。
これが第2波になり11月に死者が増加。
本当に衰退したのは翌年2月ころだそうです。

これだけみるとコロナもまだ最中で
もう少し衰退まではかかるのかなと思います。

コロナはいつか終わると思います。
地震、台風、津波などの災害もそうですが
次の教訓になるように未来の人が困らないように
これからしていくのが今の私たちの役割なのかなと
思います。

コロナが終わればなかなかウイルスについて
興味は薄れてきます。
今読むべき本なのでぜひおすすめです。

私も横着しないでテキストではなく
本書を読んでみたいと思っています。

無駄