無駄の読書感想文

自分のためにまたはこれから読もうかなと思っているかたの参考になればと思い拙い感想文ですが書いています。読むペースは遅いので更新もゆっくりです。

獅子吼 朝比奈宗源著 2冊目

2冊目

獅子吼 朝比奈宗源著

 

詳しくは書いてあるわけではありませんが
円覚という小冊子に寄稿していて法話を集めて
一冊にした本だと思います。

同じ仏教、禅宗でも時代で捉え方が変わるのだなと
いうのが読み終わってからの感想でした。

禅宗の本は何冊か読みました。
どの僧侶の方も最終的には仏の教えにもとづいて
同じことを言っているのですが
時代感覚で伝え方が変わってくるのだと思いました。

宗源老師は、明治から昭和まで激動の時代を
生きてこられた禅僧らしく
やわらかさというより熱い人なのではないでしょうか。

今の時代感覚で読むともしかしたらわからないことが
あると思いますが
この本を読んでこの時代の人の考え方の当たり前を
読めて新鮮でした。

法話集なので人生のためになるような話が
たくさんありました。

少しだけ取り上げますと

「一般に善人とか悪人とか言うが、佛教の見方では人間には
本当は我という個体はない、だから善人も悪人も究極には人ではなく
善悪の業の仮の人間という個体の上に現れた姿に過ぎない。
罪を憎んで人を憎まずというがまさにその通りです。」

「私の生涯の善知識も実に多様である。
厳格な師、理解深い友、あくまでも信じて支持してくれた
信者。母のような慈しみふかい女性。やさしい後輩や門下
時には逆にこうも意地悪をと腹をたてたり、理解のなさにくやしい
思いをしたり、またその中には一般からはつまらない人といわれて
いた人にも、とても一生忘れられない人もあり、世間で評判高い人に
もとてもこまったものだと思える人もあったが、それがみな私を
育てる恩人となったのだ。
私の短い過去ですらこうである。
生生世世うけた恩となると全く無限で想像もつかない。」


「誠がいかに大切であり、ウソをつくことがどれだけ人間の世界の
罪悪のもととなっているかは、年を取るにしたがってわかってきました。
人が誠であることは難しいことであるが、これがあるかないかで
人間の値打ちを天と地ほど変え、誠を大切とする気風があるかないかの
パーセンテージがその社会、あるいは国家の良い悪いを決める」

獅子吼 朝比奈宗源著から引用
春秋社

人生で必要な言葉が詰まっている本です。
何度も読み返したいと思いますし
数年後に読んだときにはまた違った言葉に惹かれることが
あると思います。

手元に置いておきたい本なのですが
なかなか値段がしますので・・・・・

 

無駄